摩耶観光ホテルについて

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2018年 05月 05日

摩耶観光ホテルについて48(資料45)

資料紹介45 「国立公園まや山 まやケーブル」摩耶鋼索鉄道株式会社、1958~60年(昭和33~35)頃


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国立公園まや山 表紙

 ケーブル会社による1950年後半(昭和30年代前半)のリーフレット。タイトルから摩耶山が六甲山とともに瀬戸内国立公園に編入された1955年(昭和30)以降に作成されたと推定される一方、1961年(昭和36)に再オープンした摩耶観光ホテルがまったく登場していてない。またここに記載された摩耶山の諸施設のうち、年代的に新しい「まやケーブル展望台」が1958年(昭和33)8月に建設されている。よってよってこれは、1958から60年頃に発行されたものと考えられる。表紙は、摩耶山あるいは六甲山と思われる山塊を左右に配し、その中央(谷間)に夜景?の市街地、その上部に海、さらにおそらくは淡路島がシンプル化されて描かれている。そこにケーブル、ロープウェー、天上寺を示すと思われる多宝塔や葵の紋(徳川氏から庇護されていた)の他、港町神戸を示す船のイラストが配されている。

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国立公園まや山1

 摩耶山・夜景・ケーブル展望台などが紹介されている。ここに添付されている写真のうち、下部は後で登場する奥摩耶山荘のものと思われる(同じ構図が以前紹介した絵はがき集に確認)。右側のケーブルの写真では、樹木が繁茂しており、第二次大戦前の禿げ山同然であった状況から時間の経過を感じさせる。背景のイラストには、ケーブルおよび1955年(昭和30)7月に開業した奥摩耶ロープウェーや天上寺が記載され、戦後の状況を示している。
 ここで特に注目されるのは、「千万弗の夜景」「千万弗の美観」と記されている夜景である。以前に紹介した通り、美しい夜景に対して、しばしば「百万ドルの夜景」と表されているが、この理由については諸説が存在して判然としない。ただし摩耶山の夜景については、ケーブル会社の社史に六甲山からの夜景が百万ドルと表されていたことに対して、同地のそれはより美しいとのことで千万ドルになったと記載されている。六甲山関連の資料を確認していないが、摩耶山については第2次大戦前のリーフレット等には、夜景を紹介する記載はない。よって、六甲山との比較等の真偽はともかく、摩耶山の夜景を千万ドルと形容されるようになったのは、このリーフレットが発行された1950年代後半(昭和30年代前半)以降と判断される。
 次に「まやケーブル展望台」(社史によれば1958年(昭和33)8月建設)の部分には、「無料休憩所・売店」(同1957年(昭和32)6月建設)・「バンガロー」(同1957年(昭和32)7月建設)の施設が記載されている。ただし同所に「旅舘」と記載されているものについては、社史からは確認できない。以前紹介した住宅地図では1956・58年版(昭和31・33)に「展望台」の南側に「摩耶旅館」が確認されるが、ここにある「旅舘」と同一かは不明である。

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国立公園まや山2

 こまかい点だが、左側の「高山大神」にある「アベック連の参詣が多い」の表現は、昭和的な時代を感じさせる。

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国立公園まや山3

 ロープウェーと同時期に整備された「奥まや遊園地」には「ムーンロケット・渦巻カー・マウントコースター等」が記載され、明らかに現在の自然公園と異なる状態であったことを確認される。なお右側の地図では「観光牧場」(現・六甲山牧場)から奥摩耶(山頂地区)への自動車道路(奥摩耶ドライブウェー)が記載されている。

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国立公園まや山4

 こうした形態のリーフレットは、これまで第二次大戦前限定と判断していたが、今回紹介したように、戦後になっても同様のものが発行されていたことを確認した。ただし、これが限定的に発行されたものか、あるいは複数のものが継続的に発行されたかは未確認である。同時に絵はがき集も発行されているが、社史によれば、戦後の摩耶ケーブルは運輸収入こそ増加していくが、旅客人員は徐々に減少し(1955年(昭和30)50万人→1965年(昭和40)42万人→1975年(昭和50)29万人)、1975年(昭和50)10月には六甲ケーブルと合併している。これは明らかに、ケーブル会社、もしくは摩耶山観光の低落による再編と思われる。ケーブル会社独自のリーフレットや絵はがきが戦前ほど確認できないこともこうした状況によるものとも推測される。


by nk8513 | 2018-05-05 08:34 | Comments(0)


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